「すべて、モノには、いのちが、宿っている。」という祖母の言葉が、私を捉え、様々な、いのちの息遣いに、耳を澄ますようになっていた。
存在の不思議、人間に宿っているものの正体への好奇心,等々。子供の頃からの不思議が、今も、私の中にあって、キャンバスというモノから、現れるかたちと、色彩、空間の中に、生きている鼓動や、呼吸や、内在するものを宿らせる、その瞬間を体感することで、自分自身に、「いのちとは、何か?」を問い続けているのだと思います。
人間も、自然の循環の一部として、生かされている謙虚さが、必要である「共生」という事が言われる一方で、現実の深層には、人間の欲望が、横たわり、ねじれたり、歪みながら、平静を装ってます。
光も影も、虚も実も、相反するものが、せめぎ合いながら、在り続け、人が、生きていく様に、現実の自分の居場所から、作品も生まれ、存在の奥にある共通なもの、矛盾をも包合する様な、深いものに、一瞬でも出会い、それを表せたら・・・と思います。
上野明美